見落としていたが、9月10日のブログで取り上げた件、『毎日』も報じていた。
「原口総務相、A級戦犯の合祀手続き検証へ、省内に検討会」と(毎日jp9月8日)。
こちらの記事での原口大臣の発言は次の通り。
「(合祀事務協力の)行政的な手続きが無効であるとすると、(その後にA級戦犯が)合祀されている史実自体が、歴史の事情と違うことになる」「行政手続きに瑕疵(かし)があったとすれば、今までのものを塗り替えなければいけない。
事実に基づいて検証をしなければならない」。
事実に基づく検証、大いに結構。だが、検証しなくても結論は決まっているはずだ。
いわゆる「A級戦犯」合祀自体に何の「瑕疵」もないーーと。
事実は、いわゆる「A級戦犯」も戦傷病者遺族等援護法及び恩給法の適応対象とされたこと。
この事実に基づいて、靖国神社はいわゆる「A級戦犯」を合祀した。
その事実を伝えた厚生省の通知が、役所の都合で廃止され、通知自体が「無効」になっても、事実そのものに変更がない限り、靖国神社の合祀には一切、関わりがない。
あえて卑近な例で説明しよう。何かの懸賞に応募して、特賞の世界一周旅行が当た
った。
ところが、それを伝える通知が何かの事情で、回収された。
先方に確認すると、特賞に当たった事実に何の変更もない、でも通知が無効になったので世界一周旅行は出来なくなりました、と言われて素直に納得出来るだろうか。
旧厚生省の通知そのものについは、改めて検証するまでもなく廃止済みだ。
だが、その通知によって伝えられた事実に変更がない以上、靖国神社の合祀自体を「塗り替え」る余地は、寸分もない。
もし原口大臣にお暇があって、行政手続きの検証を望まれるなら、国民多数の要望を背景とした法改正により、いわゆる「A級戦犯」を援護法と恩給法の適応対象とした事実を、再確認されるがよかろう。
毎年、終戦記念日に日本武道館で行われている政府主催の全国戦没者追悼式典でも、いわゆる「A級戦犯」が追悼対象に含まれている事実と合わせて。
なお法律上、いわゆる「A・B・C級」の区別はない。